ひつじのこと。

ひつじの種類

野生種と家畜種の違い

「ひと」に家畜化された最初の動物とも言われる「ひつじ」。ペットから家族の一員になろうとしている「いぬ」は、ひつじを飼育するための牧羊犬として飼われるようになったとされる。

野生ひつじ

  • 体が大きい
  • 大きな角がある(ない種類もいる)
  • 尻尾が短い

家畜ひつじ

  • 体が小さい
  • 角が小さい
  • 毛が柔らかい

家畜として発達したものも含めると、世界のひつじの種類は1000種類あまり。

用途品種
肉用種サウスダウン種、サフォーク種、シューロップシャー種、ハンプシャーダウン種、ボールドーセット種、テクセル種
肉兼用種コリデール種、クープウォース種、ペレンデール種、リンカーン種、ロムニー種、チェビオット種、ボーダーレスター種
毛用種オーストラリアン・メリノ種、スパニッシュ・メリノ種
毛皮種ロマノフ種、カラクール種
乳用種サルダ種、マンチェガ種、オストフリーシアン種

日本で飼育されているひつじのほとんどは肉用のサフォーク種。

ひつじの肉

ひつじの肉は大きく分けるとラムとマトン。

ラム生後1年未満の仔羊肉
肉質が柔らかい
マトン生後1年以上の羊肉
特有の香りがある
ホゲットマトンのうち生後1年以上2年未満の羊肉

他に母乳以外口にしていない乳飲み仔羊など、国によって様々な分類や呼び方の定義がある。

ひつじの分布

世界のひつじの3分の1はアジアに生息し、オーストラリアやニュージーランドでは人口よりひつじの数の方が多い。

中国1億8700万頭
インド7500万頭
オーストラリア7500万頭
イラン4800万頭
ナイジェリア3800万頭
イギリス3200万頭
ニュージーランド3100万頭
日本1万3000頭

ひつじの部位

ひつじの部位とそれぞれに適した調理方法。

ネック首周り煮込み料理向き
ショルダージンギスカン、炒め物向き
チャックロール肩ロースステーキ、ジンギスカン向き
ラック背中骨つきロース、フレンチラック、ラムチョップ
レッグモモ肉赤身で煮込み、焼き料理向き
シャンク前足すね煮込み料理向き
ブレストムネ肉スペアリブ
フラップバラ肉スペアリブ

ひつじの栄養

ひつじの肉がヘルシーと言われる理由

  • 細胞内の脂肪を燃やす効果が期待されるL-カルニチンが100gあたりマトンで208.9mg、ラムで80mgと他の食肉に比べ圧倒的に多い。
  • コレステロール値が100gあたり50mgで魚と同程度に低く、悪玉コレステロールを減らす効果が期待できる不飽和脂肪酸を多く含んでいる。
  • 脂肪の融点が44度でひとの体温より高いため、脂肪が吸収されにくいとされる。
  • ビタミンB1、鉄分、亜鉛などの栄養素も豊富に含まれている。

ジンギスカン

ジンギスカンの発祥は大正時代。北京「正陽楼」で出されていた「烤羊肉(カオヤンロウ)」という料理が原型で、名付け親は時事新報の北京特派員だった鷲沢与四二(鷲澤與四二 わしざわ・よしじ)だとされる。
昭和4年に上野公園で開催された「食糧展覧会」で披露された12種類のひつじ料理の中でも紹介され広く知られるように。その後、綿羊の生産が盛んだった北海道や千葉などで郷土料理として発展。

ジンギスカンが名物となっているエリア

  • 北海道
    2004年にはジンギスカンが「北海道遺産」に認定。
  • 岩手県遠野市
    遠野出身の安部梅吉が戦時中に満州で食べた羊肉料理を広めようと昭和30年代に店を出したのが始まりとも言われる。ほとんどの民家でホームスパン用に綿羊が飼われていたこともあり、遠野では焼肉といえばジンギスカンをさすほど一般的。
    ジンギスカンのあんべ[食べログ]
  • 蔵王(山形県・宮城県)
    大正時代初期に日本緬羊協会会長を務めていた斎藤忠右衛門がモンゴルで見たという鉄兜で羊肉を焼く料理をやるように甥の斎藤恒夫に勧めたのが始まりとされる。山形ではもともと羊毛生産のために緬羊が飼われていたこともあり、蔵王温泉の名物料理として一気に広まった。
    ジンギスカン・シロー
  • 長野県信州新町
    昭和初期から緬羊の飼育が盛んで、昭和11年に行われた料理講習会をきっかけにジンギスカン料理が広まりジンギスカンの町と呼ばれるほどに。緬羊の飼育が減少すると、昭和57年にはサフォーク種の飼育に切り替え、ひつじの町として有名に。「ジンギスカン街道」と呼ばれるほどジンギスカン料理店が多い。
    信州新町観光協会
  • 千葉県成田市
  • 岡山県蒜山高原
    昭和30年代に当時の岡山県知事だった三木行治がジンギスカン料理を蒜山高原の観光資源にしようと考えたことがきっかけとされている。
    蒜山観光協会
  • 高知県高知市